2011/09/26

eres lo que lees







この話


嘘か本当か


定かではないけれど


本質はそこでは無いと思っている


この話を読んで 貴方がどう感じるかが 本質



僕はBlogを始めたら 必ずこの話を載せようと 前から決めていました













'犬の餓死' という芸術





ある芸術家が餓死寸前の犬を展示して「犬の餓死」という芸術を発表した




その名の通り、紐でつないだ犬に餌も水も与えず
連日晒し続けるというものだ

つながれた犬が日々衰弱していく様子そのものが「作品」 であるという





しかもこれはまだ 最初の布石に過ぎず

私が表現しようとする芸術の準備段階だ と宣言した





「犬の餓死」だけでも非人道的なのに

それが準備段階に過ぎないと宣言したことで

様々な人から非難が集中した





ネットでは芸術家のブログは炎上し

自宅には反対するグループが 押し寄せ

それらをマスコミが取り上げ更に盛り上がり

収拾がつかない程に社会問題化した






それを受け、芸術家は新たなコメントを出した


次の展示に使う犬は保健所で処分される予定の犬を使用することにします

助けたい人がいらしたら どうぞご自由に




次の展示が行われる日 展示される美術館では初めて開館前に

行列ができていた



鉢巻をして襷をかけたいかにも抗議団体ですという集団や

興味本位で初めて美術館に訪れましたというような一般人

そしてそれらを面白可笑しく撮ろうする撮影人





100人以上の人が集まっていたので美術館はいつもより早く開館した




開館するや否や 皆早足で「犬の餓死」が展示されている前に集まった


前回と同じように動く元気もないような犬が元気なく伏せっていたが

そこに立ててあった看板だけは前回と違った






「助けたい人がいらしたら どうぞご自由に」








展示の前に集まった皆が静かに周りを伺う


多くの人が降りる停留所なのに停車ボタンを皆なかなか押さない

そんなバスの空気に似ていた






そんな中 一人の老婦人が静々と手を挙げた


「この犬を引き受けたいのですが」



すると奥から芸術家が現れて わかりました と犬の縄を看板から解き

老婦人へと手渡し また奥へと下がっていった


縄を受け取った老婦人が屈み「もう大丈夫よ」と犬の頭を撫でると

自然に拍手が巻き起こった




しかしそんな中


芸術家は奥から飄々と現れ また連れてきた犬を

看板に繋いだ



どういうことだと詰め寄られるが 特に気にすることもなく

今日は10匹連れてきましたから 後9匹いますよ と答えた






人々は唖然としたが一度できた流れは変わらず 次々と挙手する人が現れた

自分が引き受ける いいや自分が引き受けると 我先にと手を挙げた

芸術家は機械的に受け渡しを9回済まし その日の展示は終了した


マスコミはその様子を何度も放映し 国民もその美談に酔いしれた 



芸術家はその後も精力的に展示を行ったが

「犬の餓死」が完成することはなかった


どこの美術館でも用意した犬は全て貰い手が現れたからだ



それは数を増やしても変わらなかった

展示の度に生成され続ける美談が 一大ブームを作っていたからだ




そしていつしか ある噂が囁かれていた


あの芸術家は処分予定の犬達を救うためにこんな展示を

始めたんじゃないだろうかと






しかしある時 芸術家は突然展示をやめた

ブームの最中だったので 人々は不思議がった



そして とある記者が尋ねた


「噂では処分予定の犬を救うためにこの展示をしていたとのことですが

それは本当でしょうか?」






芸術家は答えた


「いいえ違います それに もしそれが目的ならば展示をやめる

なんておかしいでしょ?」




もっともな話だった





「では何のために展示をして

そして何故 展示をやめられるのですか?」





芸術家は答えた


「それはこれからわかります

そして私の準備はこれで終わったので 展示をやめます

どうぞ皆様 これから行われる出来事をお楽しみください」





展示は終わった





謎めいた発言は一時的に話題にはなったものの その後も特に

何かが起こるわけでもなかったので すぐに忘れ去られた





そして数ヶ月後




奇妙な現象が起こり始めた





全国各地の公園などに痩せ衰えた犬が次々と放置され始めたのだ


「助けたい人がいたらご自由に」 と 書かれた言葉と共に





引き受けたはいいものの 流行と偽善の気持ちから挙手した人が殆どで 

数ヶ月もする頃には 飼うことが嫌になっていた 






どうしたものかと考えつく先は皆同じで

それが芸術家と同じような手段だった




直接捨てたり 保健所に連れて行くよりも 心が痛まない

悪いのは助けることができたのに 助けることなく見ていたやつだと






多くの犬達は それから誰にも救われる事無く国のあちこちで餓死した



街中の彼らを救っても

今度は誰も賞賛してくれないからだ












かくして「犬の餓死」は完成した





多くの人の手によって。